カテーテルピンチオフを予防するために

1. カテーテルピンチオフ

カテーテルピンチオフとは、カテーテルが鎖骨近傍の組織の間で周期的に圧迫され疲弊することにより、または鎖骨下筋-肋鎖靭帯の複合体に閉じ込められたカテーテルが体動により牽引または圧迫され疲弊することにより発生します1
文献では、カテーテルピンチオフの発生率は0.1~1%2の範囲であり、カテーテルピンチオフによる損傷がカテーテル断裂に至る確率は40%3であることが示唆されています。

ピンチオフエリア

ピンチオフのリスクは、正しい留置方法によって抑えられることが十分に証明されています。特に、鎖骨下静脈よりも内頸静脈からアクセスする、または超音波ガイド下にて第一肋骨の外側の静脈から挿入する穿刺法4によって防ぐことができます5

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A. 右内頸静脈からのアプローチ

右内頸静脈は上大静脈への最も直線的な経路で、鎖骨下静脈よりも太くて体表に近い位置にあります。いくつかの研究では、カテーテルの右内頸静脈への留置は技術的に成功率が高く、手技上の合併症を有意に軽減する安全な方法であることが証明されています6

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B 鎖骨下静脈からのアプローチ

鎖骨下静脈を介した留置も安全に行うことが可能ですが、鎖骨中央線の外側に経皮的穿刺を行うことが重要です。こうすることで血管中にあるカテーテルが、肋骨鎖骨腔内で鎖骨近傍の組織に圧迫されることを防ぎます7).8

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2. 超音波誘導による留置

より安全にカテーテル留置を行うために、超音波誘導下での挿入の検討を推奨します9
右内頸静脈にアクセスする場合、超音波誘導によるアクセスの方が、従来のランドマーク法よりも安全かつ有効であることが分かっており、様々なエビデンスにより、「画像誘導下での挿入に切り替えるべきである」との結論が得られています10

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3. 超音波診断装置 サイトライト5を用いた血管へのアクセス

➀ 穿刺を行う内頚静脈または鎖骨中央線外側の鎖骨下血管に沿う形で、血管に対して垂直にプローブを皮膚に当て、血管走行および血管深度を確認します。

ポイント:静脈と動脈に対してプローブを押し当てると、動脈は開存したまま、静脈は潰れた状態になりますので、動静脈の確認が容易に行えます。

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➁ 専用のニードルガイドを用いて、目的の血管に穿刺を行います。

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➂ サイトライト5の画面を見ながら、ゆっくりとニードルを前進させます。ニードルが血管に近づくと一時的に血管壁が凹んだ状態になります。

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その後ニードルが血管内に挿入されると血管壁は通常の形状に戻ることが確認できます。

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※サイトライト5に関する詳細についてはサイトライト5の取り扱い説明書をご覧ください。取り扱い説明書は弊社担当者までお問い合わせください。

4. 留置後のモニタリング

「ピンチオフ症候群は、カテーテルを挿入してから平均5.3ヶ月後に発生し、その範囲は挿入直後から60ヶ月後までである11」ということが報告されています。従って、留置後は、必ずピンチオフについて定期的にモニタリングを行ってください12。モニタリングを行うことによって、ピンチオフしたカテーテルを断裂する前に抜去することができます。

5. 安全な薬液投与を行うために

輸液開始前の確認事項

1.逆血の確認を行い、カテーテルが血管内に挿入されていることを確認します。

 ☆逆血の確認が困難な場合→腕を上げたり、患者の姿勢を変えてみます。患者の体位によって逆血の確認が可能になる場合は、ピンチオフの可能性があります。

2.フラッシュ(通水確認)を行います。

☆フラッシュが困難な場合→腕をあげたり、患者の姿勢を変えてみて、フラッシュが可能になる場合は、ピンチオフの可能性があります。

☆体位を変えてみてもフラッシュが困難な場合は、カテーテル閉塞の可能性がありますので、速やかに医師に連絡します。

3.フラッシュ後、痛み・腫脹などがないか、患者の容態を確認します。

4.輸液の途中で、体位によって輸液が可能になったり不可能になる場合も、ピンチオフの可能性があります。

6. ピンチオフの徴候が見られた時

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ピンチオフの可能性がある場合、X線写真上で確認します。

X線写真上:

・ 胸部X線写真上でグレード1~2の歪みがあります。抜去前に、ピンチオフの重症度を評価してください。鎖骨近傍にカテーテルの歪みが示されている患者は、その程度に関わらず必ず慎重にフォローアップしてください。
適切な胸部X線写真で認識すべきピンチオフの程度を以下に示します。

グレード 重症度 推奨措置
グレード0 歪みなし 措置不要
グレード1 歪んでいるが、管腔は細くなっていない。 1~3ヶ月毎に胸部X線写真を撮影し、グレード2の歪みに至るまでピンチオフの進捗をモニタリングすること。胸部X線写真を撮影するときの肩の位置が歪みのグレードに影響を与える場合があるため、その位置を必ず記録すること。
グレード2 歪みがあり、管腔が細くなっている。 カテーテルの抜去を検討。
グレード3 カテーテルが切断または破損している。 直ちにカテーテルを抜去する。

(Policies and Procedures for infusion Nursing 3rd editionより)

引用文献: